JAM

JAM2023一次オーディションの審査員を務めてくださった、かくたあおい様・つじむ様・ファレル様より審査総評をいただきましたので公開いたします。

かくたあおい様

たくさんの素敵な演奏を聴かせていただき、ありがとうございました。審査員を務めさせていただけたこと、光栄に思います。

私の高評価とさせていただいた基準は、「ピッチ・リズムが安定しているか」「鳴っているか」「曲想に合わせた演奏表現ができているか」「発音が明瞭か(特に他言語)」となります。(※鳴る:倍音を多く含んだ声で、声帯がしっかり鳴らせている状態)総評として、今後の参考になりそうなことを3点述べさせていただきます。

・Bassの音色について

2年前の審査で、Chorusがしっかり歌うことが大事だという事を述べさせていただきました。それから2年、多くのバンドがChorusを鳴らせるようになったように思います。これは素晴らしいことですね。そこで今年提起させていただきたいのが、Bassの音色についてです。前述のとおり、LeadとChorusが鳴るようになってくると、Bassの鳴りが欲しくなってきます。これについては、ずばりアタック音の強化と声帯の工夫で鳴るようになると考えます。明瞭なアタック音があるとリズムが増強され、声帯閉鎖をするとふくよかな倍音とともに音楽の輪郭が明確になります。低音楽器の強化でカギとなるのは、低音域帯ではなく高音域帯です。(VPのバスドラムにも同じことが言えますね。)上手なBassは共通してこれらが出来ていますので、ピッチのみならず音色研究してみるのもオススメです。

・Chorusのシラブルについて

シラブル「ah」「oh」「oo」などを白玉音符で伸ばしたときに、変化がないと音楽の流れが停滞してしまいます。音量や口の形などを変化させ、フレージングを考えるとより立体感の演奏になります。

・イントロの完成度について

イントロは、みなさんの第一印象が決まる重要な楽節です。心理学でいう初頭効果は音楽にもありますので、イントロの完成度は極限まで高めておくことをおすすめします。

https://note.com/aoinow/n/n6f186005be63

よろしければこちらも参考に..!

つじむ様

今回JAM一次審査にて審査員をさせていただきました、つじむと申します。

私からは全体講評として2点お伝えします。

昨今アレンジの用意の仕方も多様になり、メンバー以外の方に委託をする場合も増えてきたように感じます。それ自体は全く構わないのですが、自分たちの演奏における表現をその出来上がったアレンジに託しすぎているような印象を受けました。アレンジはあくまで脚本であって、結局その舞台の生死は演じる演者に委ねられるものだと私は考えています。かっこいい曲を選んでも自ずとかっこいい演奏・バンドになる訳ではないですし、良いバラード譜だからといって自ずと感動する演奏になるわけでもありません。歌い方そのものや抑揚へのこだわりなど、演者の皆さんの努力次第でもっと磨きがかかりそうな部分が見過ごされているように感じ、勿体なく思いました。

また、良くも悪くも楽譜に書かれていることのみを忠実に追っていて、完走することをゴールにしてしまっているような演奏が見受けられました。ahはahであるのみ、ooはooであるのみというのは、人間という楽器が持つ声の多様さからみればとても勿体ない事だと思います。1つのスキャットの中にも是非バリエーションを持たせましょう。発音・スピード・口の開きなどで違いを見出していくのも良いですし、「手をあたためる時のha」というように共有しやすい例えを用いるのも良いかもしれません。

コンペティションということもあり、きっと色んな想いや緊張感の中これを演奏されたんだなと思うと、聴き手としても背筋の伸びる思いでした。ご応募いただいた皆さん、ありがとうございました。

ファレル様

素敵で多様な音源を聴かせていただきありがとうございました。

今回の審査において、自分の中で結果が大きく分かれたポイントは「バンドメンバーそれぞれが自分の役割を認識したうえで表現をつけられているか」です。

曲の場面ごとに音色や歌い方は切り替わっていきます。その中で自分がどの役割を持つべきなのかを常に意識してほしいです。意識できていないと感じたケースでよくあったものが以下です。

・リードが終始一定の抑揚で変化が少ない

・コーラスが伴奏にのみ徹している

・ベーパの音色がどの場面でも同じ

どのパートにおいても、「表に出るべきか引くべきか」、「ストリングス的に歌うのか人の声として歌うのか」、「感情的に歌うのか機械的に歌うのか」などと様々な役割の変化があるはずです。それを全員が意図を持って表現できているかによって、バンド全体の表現力は大きく変わります。ただ単に楽譜を歌うのではなく、楽譜の中にあるイメージを膨らませて、それぞれの役割を表出させた歌唱ができると良いと思います。

またコーラス、ベース、パーカッションが意図せず機械的になるケースがかなり見受けられました。機械的になることで、感情的なリードとの乖離やリズム感の喪失などバンドとしてのまとまりがなくなってしまいます。もちろん全員が感情に振りすぎると収拾がつかない演奏になってしまうのでバランスを意識する必要はありますが、どのパートも「歌う」意識は持てると良いのではないかと思います。

以上がJAM2023一次審査総評になります。

お忙しい中、審査員を引き受けてくださいましたかくたあおい様・つじむ様・ファレル様に深く御礼申し上げます。またエントリーをしてくださったすべての皆様に感謝申し上げます。たくさんのご応募ありがとうございました。

引き続きJapan A cappella Movement をよろしくお願いいたします。

Japan A cappella Movement 2023 実行委員会